仕入税額控除

前段階税額控除方式を採用
→前段階税額控除とは、消費税を二重に徴収しないために行う方法。

消費税とは、税負担を消費者に転嫁されるものだが、製造・卸・小売などの各段階の事業者が納税するもの。

さらに、日本で採用されている計算方法は、原則、帳簿上で売上総額と仕入総額の消費税額を算定する為、帳簿方式という。そして、EU諸国で使われているインボイス方式は、帳簿で一括に処理せず、一つ一つ伝票を発行して消費税を算出する。この方式も二重課税を避けるために行われて、仕入商品のインボイス(納品書)に前段階までの支払税額が記され,次段階の税額からそれを控除する。

よって帳簿方式・インボイス方式は、どちらも前段階税額控除方式となる。

この前段階税額控除は、売上に対して課する売上税のような製造・卸売・小売の製品・商品の各段階における事業者の税負担の不公平さを解決するために考案されたものである。売上から仕入を控除した付加価値部分に対応する税額となる。

簡易課税制度

簡易課税制度とは、みなし仕入率を用いて仕入税額控除を計算する方法。

基準期間の課税売上高5,000万以下の事業者が届出書を提出することにより適用を受けることが可能。小規模な事業者に対して、事務的な負担を増加させないことの配慮から、課税売上高のみをもとにして、消費税を計算するので簡易に消費税を計算することができる。

ただし、みなし仕入率より、実際の仕入税額控除を利用したほうが、税負担が少なく済む場合があること、また、業種区分の判定が困難となる場合があり、簡易とは言えない点があり、必ずしも小規模事業者にとって有利とはいえない制度ともいえる。

みなし仕入れ率は90%~50%まで下記事業までの5段階に区分される。
第一種事業  90%
(卸売業)

第二種事業  80%
(小売業)

第三種事業  70%
(農業、漁業、製造業等)

第四種事業  60%
(第三種・第五種以外の事業で飲食・金融・保険業等)

第五種事業  50%
(運輸通信業・サービス業等)

第六種事業  40%
(不動産賃貸業等)

簡易課税制度選択届出の効力に関する事例

①概要
第1・2期において資本金1,000万以上・簡易課税選択届出をした新設法人の課税事業者が、第3期において、基準期間課税売上高が1,000万円以下であった為、一旦、免税事業者となり、その後、第4期において事業拡張の為、建物を建てたことで、第4期においては、原則課税により消費税額を計算し、消費税の還付を受けた。

②争点
簡易課税制度選択の届出書を過去に一旦提出したものの、その後、免税事業者となったので、消費税の権利・義務関係については一旦クリアしたか。すなわち、納税義務がいったん消滅した状態では、その時点において簡易課税制度の選択も失効したと解することはでき、その後、納税義務が再度発生した時点じおいて、簡易課税の選択届出を提出しない限り、原則課税によるのではないか。

③裁決
消費税法第37条第4・6項は、簡易課税制度選択届書を提出した事業者が、簡易課税制度の適用を受けることをやめようとするときは、簡易課税制度選択不適用届出書を税務署長に提出しなければならないこと及びその提出のあった日の属する課税期間の翌事業年度以後に簡易課税制度選択届出書はいその効力を失うことを規定している。よって本件課税期間の課税仕入れにかかる消費税額は簡易課税制度を適用される税額をもって計算されることは適法である。

④評釈
簡易課税を取りやめるときは、改めて不適用の届出書を提出しなければならないこと、不適用届出書を提出しなければ、免税事業者の期間を挟んでも、選択届けでの効力は有効であることについてを考慮したうえで、原則、その適用を受けようとする事業年度の前年度末までに、届出書を提出しなければならないということについて条文と通して理解ができる。しかし、そもそも本件のような争いが生じる原因は、原則課税と簡易課税のどちらを選択するかの判断を適用をうけようとする課税期間の前日までに求められているところにある。その為に失念してしまうことが多々あると考えられる。原則・簡易のいずれを選択するかは、納付する税額により判定することが多いが、その有利不利は当該課税期間が終わってみないと不明です。簡易課税制度のもともとの趣旨は、小規模事業者の事務を簡便にすることであるが、当該制度により、消費税制度をより難解にしているものと考えます。また、届出書の提出期限が前年度末にすることについて、予め納税義務の有無・簡易課税制度の選択の有無を決めなければ消費税を転嫁できないとあるが、この理由についても疑問が残る。現行制度を廃止し、簡易課税制度の存続すべきなのかどうかについて疑問点が残る。

(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
消費税法
第37条 事業者(第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。以下この項及び第38条第1項において同じ。)が5000万円以下である課税期間(第12条第1項に規定する分割等に係る同項の新設分割親法人又は新設分割子法人の政令で定める課税期間(以下この項及び第38条第1項において「分割等に係る課税期間」という。)を除く。)についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が5000万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。)については、第30条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、当該事業者の当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間における第38条第1項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の60に相当する金額(卸売業その他の政令で定める事業を営む事業者にあっては、当該残額に、政令で定めるところにより当該事業の種類ごとに当該事業における課税資産の譲渡等に係る消費税額のうちに課税仕入れ等の税額の通常占める割合を勘案して政令で定める率を乗じて計算した金額)とする。この場合において、当該金額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。

4 第1項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようと するとき又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。

6 第4項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第1項の規定による届出は、その効力を失う。