概要

建設業法に定める28業種の建設工事のうち管工事はそのうちの専門工事の一つであり,工事1 件の請負金額が500万円以上(税込)の工事を請け負う場合には,建設業の許可が必要になります。

また,浄化槽の設置工事を行う場合には,工事1 件の請負金額が500万円未満(税込)である小規模な工事のみを行う事業者であっても,都道府県に浄化槽工事業者登録が必要になるので注意が必要です。

建設業法に規定する管工事の定義は,「冷暖房,空気調和,給排水,衛生等のための設備を設置し,又は金属製等の管を使用して水,油,ガス,水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」とされ,具体的には冷暖房設備工事,給排水・給湯設備工事,衛生設備工事,ダクト工事が挙げられています。

税務上の留意点

作業屑の売却

金属製のパイプ,特に銅製のものを使用が多くなる事業者の作業屑は,雑収入として計上することに留意する。

簡易課税を適用している事業者に係る作業屑の売却収入は,建設業と同様の第三種事業に該当します。

外注費と給与

業務の従事者に支払う対価が,労働の対価としての給与に該当するのか,請負の対価として外注費に該当するものなのかについて判定する必要があります。

外注費に該当する場合には,消費税の処理をするうえで,仕入税額控除の対象という取り扱いをし,給与ではないので,源泉徴収の対象とはなりません。

一方,給与に該当する場合には,消費税の処理は消費税の非課税取引として仕入税額控除の対象外で,当該給与に対応して源泉徴収義務が発生します。

消費税法基本通達に明示されている給与と事業所得については,下記のとおり。

(個人事業者と給与所得者の区分)
1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

  1. その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
  2. 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
  3. まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
  4. 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

 消費税簡易課税の売上区分

消費税簡易課税制度を選択適用する場合において、各事業において売上区分が異なることに留意が必要です。

  1. 材料及び工具機械等が自社持ちの場合  ⇒第三種事業
  2. 原材料等が元請から供給される場合   ⇒第四種事業
  3. 管理・修繕・保守・点検等の事業    ⇒第五種事業

 消費税の税率の引き上げ

消費税率は平成31年10月1日から10%に引上げが予定されています。

元請で受ける請負工事で大規模な単独工事であれば,経過措置が設けられる可能性があることを考えるとその適用に該当するか否かの検討をする必要がある可能性が高いが、小規模な工事については,適用されるケースは少ないと考えられます。

その他の留意点

緊急性が高い小規模修繕が多い管工事業については、小口の現金売上が比較的多く考えられる業種で,小規模修繕については工事日報に記載がないことも多く、現金売上の漏れがないように現金管理を徹底する必要があります。