業界の事情

内装工事業は,主に内務のクロスや壁紙,畳,カーペット等の工事を行う業種である。

建物内部の工事のため,他の建設業種と異なり作業が天候に左右されない。

建築工事の最終仕上げ段階での工事になるため,工期遅れの影響を受けやすい。

前工程で行う下地に不備があると,仕上りの品質に影響する等.前工程の影響を大きく受けるという特徴がある。

業者の中には工事だけでなくインテリアショップ等を併設してインテリアコーディネートや内装材料の販売も行う企業がある。

業界は,従業員4名までの小規模な企業が全体の約7割を占めており,営業活動は経営者の人脈で行われることが多い。

シックハウス対策の法律により内装仕上材として,ホルムアルデヒド等の有機化学物質的発散が少ない建材を使用することが義務付けられた。

新築工事が停滞している中,リフォーム工事業は順調な伸びが期待されている。リフォームの工事内容の上位は, 屋根・外壁等の塗り替え,内装の模様替えとなっている。

内装工事業の市場は比較的堅調である。

経営のポイント

(1)営業力の強化

内装工事は,ゼネコンや工務店の下請けとして仕事をすることが多い。

多くの企業は,元請の指示に臨機応変に対応することで受注を確保しているが,元請が施主と取り決めた仕様の工事を行うだけでは,利益率を改善していくことは難しい。

内装工事だけでなく照明や家具等のデザインも含めた提案力の向上に取り組む。

また,シックハウス対策として自然素材で内装仕上げを望む顧客も増えていること等を背景に常に新しい商品を見つけて提案する。

このようにして,内装の専門家として元請けから頼られる存在になることが重要である。

(2)生産性の向上

設計変更や打合せ不足による手直し, 資材の不足による手打ち等,生産性向上の余地が残されている。とにかく職人の稼働率を下げないことが大切である。

  1.  元請との連絡を密接に行い,工期の遅延による作業スケジュ-ルの変更へ早めに対応
  2.  工事着手前工程の仕上がり状態を確認し必要であれば着手前に手直しを依頼する。

(3)資材調達

長年付き合いのある建材店等と安定した継続取引を行っている場合が多いため,ベストな取引先であるかどうか,見直しが必要である。

材料については,余りが無駄になることが多い野で,発注前に正確に積算することが必要。

(4)原価管理

下請としての仕事が多いため,元請負から指示された金額で工事を行うことが多い。

実行予算を立てて実績との対比を行い,コストダウンにつなげていく取組みが必要である。

設計変更や追加工事等の費用請求についても,あいまいにせずに適正に行うことが重要である。

職人への支払については, ㎡単価の採用等,作業量に応じた支払にすることが原価管理上大切である。

(5)提案力の向上

住宅インテリアの高級化が進んでいる。デザインやコーディネートの提案力向上が必要である。

特にリフォーム工事では,インテリアのトータルコーディネートが求められるようになっている。

税務指導のポイン卜

(1) 大工・左官等の建設労働者に係る源泉徴収

大工・ 左官等の建設労働者についての源泉徴収の取扱いについては次による。

  1.  大工・左官等の建設労働者が,一定のグループを組んで手間受け(出来高払制)の形態で仕事をし,その手間賃を統括者(責任者)が一括して代理受領する場合の源泉徴収義務者は,そのグループを雇用した建設業者であり,そのグループの統括者(責任者)ではない。
  2. 見習い工を雇用している親方又は一人親方が,その見習工ともども建設業者に雇用された場合,その給与が一括して親方に支払われたとしても,その給与に対する源泉徴収義務者は,その建設業者である。
  3. 大工・左官等の建設労働者又は一人親方が小工事を請け負い,短期間他の建設労働者を雇用し給与等を支払う場合があるが,この場合でも,その源泉徴収税額の有無にかかわらず,所得税徴収高計算書を管轄税務署に提出する必要がある。
  4. 大工・左官等の源泉徴収を行う場合の源泉徴収税額表の適用区分については,その判定される時において明らかに8か月を超えて雇用されることが予定されている場合を除き,その者が同一事業主に継続して8か月を超えて雇用されたかどうかによって判定してよい。

(2)大工・左官等への外注費に係る消費税

個人事業者と給与所得者の区分は,代替性,指揮監督,道具類の供与等の事項を総合的に勘案して判定することとなるが,大工・左官等は一般的には個人事業者と考えられるため,建設業者においては,手間賃等の支払が雇用契約等に基づく給与等の支払と認められる場合を除き, 支払った報酬の全額が課税仕入れに該当する。

(3)出来高検収により外注費を支払う場合の消費税の仕入税額控除

建設工事等を請け負った事業者が,建設工事等の全部又は一部を他の事業者に請け負わせる場合で,元請けが下請業者の行った工事等の出来高について検収を行い,その検収の内容及び出来高に応じた金額等を記載した書類を作成し,それに基づき請負金額を支払っているときは, その出来高検収書は,消費税法に規定する請求書等に該当するものとして取り扱われ,元請業者は,その出来高検収書を作成し,下請業者に記載事項の承認を受けることにより,その出来高検収書に記載された課税仕入れを行ったこととなり,仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用することができる。