国際課税関係では、どのような改正が行われましたか?

恒久的施設関連規定の見直し等が行われました。

恒久的施設関連規定の見直し

恒久的施設(PE : Permanent Establishment)とは事業を行う一定の場所で、外国企業が日本国内で業を行う場合、日本国内にその外国企業のPEがなければ、その外国企業の事業所得には課税できないこととされており、支店PE ・建設PE· 代理人PEの3つの種類に区分されています。

改正により、PEの定義が次のように見直され、あわせて、PEに係る租税条約と国内法の規定の適用関係も明確化されます。

-支店PE···保管・展示等の特定活動のみを行う場所も、その活動が、外国法人等の事業の遂行にあたり、準備的・補助的な性格のものでない場合はPEに該当するとされます。

-建設PE··· PE認定回避を主目的として契約期間を分割した場合は、その期間を合計して判定することとされます。

-代理人PE··· 外国法人等の資産の所有権の移転等に関する契約の締結に関する業務を行う者が追加され、独立代理人から専ら又は主として親会社等に代わって行動する者は除外されます。

また、外国組合員に対する課税の特例について、投資組合契約に基づいて行う事業に係る一定のP E帰属所得に対する所得税及び法人税を非課税とする措置に改組されます。

[適用関係]
平成31年分以後の所得税及び平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用。

外国人の出国後の相続税・贈与税等の納税義務の見直し

改正により、一時的に国外に住所を移した後に贈与を行う場合を除き、外国人の出国後の相続・贈与については原則として、国外財産を相続税等の課税対象とはしないこととされました。

具体的には、相続開始又は贈与の時において、国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、国内に住所を有しないこととなった目前15年以内において国内において住所を有していた期間の合計が10年を超える被相続人又は贈与者から相続もしくは遺贈又は贈与により取得する国外財産について、相続税又は贈与税を課さないこととされます。

[適用関係]
平成30年4月1日以後に相続もしくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用。

タックスヘイブン対策税制

株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち、外国金融子会社等に相当する金融持株会社は、事業基準を満たすこととされる経済活動基準が見直されるほか、内国法人の外国子会社に係る課税の特例(タックスヘイブン対策税制)等について、所要の見直しが行われました。

[適用関係]
平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用。

公募投資信託等が海外の資産

公募投資信託等が海外の資産に投資している場合、そこから得られる配当等に対して外国で課税が行われます。

この公募投資信託等が国内の投資家に分配金を支払う際には国内で源泉所得税が課されますが、上記外国税(分配時調整外国税相当額)を控除する仕組みがないため内外二重課税となっています。

改正により、公募投資信託等を経由して支払った外国税は、その公募投資信託等の分配金に係る源泉所得税の額から控除できるよう調整措置が講じられます(法人税についても同様)。

[適用関係]
平成32年1月1日以後に支払いを受ける集団投資信託の収益の分配に係る分配時調整外国税相当額について適用。