退職金以外で従業員に関する論点は以下の通りです。

慶弔・禍福に対する金品の支給

法人が災害により被害を受けた従業員等またはその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金の額に参入されます。法人が自己の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等またはその親族等に対して一定の基準にしたがって支給する災害見舞金品についても、同様に損金の額に算入されます。個人が支払を受ける災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税されません。

  • 福利厚生費となるもの
  • 慶弔見舞金規程等一定の基準にしたがって、従業員(従業員であった者も含む)またはその親族等に対して支給するもので、社会通念妥当なもの
  • 給与等となるもの
  • 交際費となるもの
  • その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、高額と認められるもの
  • 給与等となるもの
  • 従業員等以外の者に対する者
  • 従業員等以外の者に対するもの
  • その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、高額と認められるもの

慰安旅行

◎福利厚生費となるもの

  • 旅行期間が4泊5日以内で、かつ全従業員の50%以上が参加する場合
  • 特定の従業員や役員だけを対象としたもの(役員だけの慰安旅行は役員賞与となる)
  • 自己都合の不参加者に金銭を支給した場合は、参加者の分までも給与等になる。

レクリエーション、新年会、忘年会

社会通念以上、一般に行われているレクリエーションであって、通常必要な費用社会通念以上のものは給与扱い。ゴルフの費用は自己都合の不参加者に金銭を支給した場合には、参加者の分までもが給与等になる

◎交際費となるもの

  • 特定の従業員等のみを対象とするもので、取引先に同行すること等によって給与に該当しないもの

永年勤続表彰

  • 特定の従業員や役員だけを対象としたもの
  • 特定の従業員等のみを対象とするもので、取引先に同行すること等によって給与に該当しないもの

永年勤続者に対する旅行券の支給

◎福利厚生費となるもの(一定の要件を満たしている場合には福利厚生費として損金に参入)

  • 旅行、観劇の招待、記念品の支給であること
  • 当該従業員等の勤続年数に照らし、社会通念上相当と認められる金額であること。おおむね3年以上の勤続年数の者を対象としていること
  • 2回目以降の支給についてはおおむね5年以上の間隔があること

◎交際費となるもの

  • 福利厚生費の条件に該当しないもの

◎給与等となるもの

  • 特定の従業員等のみを対象とするもので、取引先に同行すること等によって給与に該当しないもの
  • 旅行の実施は旅行券の支給後1年以内であること
  • 旅行の範囲は支給した旅行券の額から見て相当なもの(海外旅行を含む)であること
  • 旅行券の支給を受けた者が当旅行券を使用して旅行を実施した場合には所定の報告書に必要

創立記念、新社屋完成パーティ等

◎福利厚生費となるもの(社内の行事であって、従業員におおむね一律に社内において給付する通常飲食に要する費用。記念品を支給する場合は、一定の要件を満たすもの

◎給与等となるもの

  • 従業員等に支給される記念品であって、一定の要件を満たさないものなかった場合、 一定の事項(旅行実施者の所属・氏名・旅行日・旅行先・旅行者等への支払額等)を記載し、これを旅行先等が確認できる資料を添付して旅行券を会社に返還すること
  • 支給する記念品が社会一般的にみてふさわしいものであること
  • 記念品の処分見込価額が1万円(税抜)以下であること
  • 定期間ごとに行う行事で支給するものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものである
  • 一定の福利厚生費の条件に該当しないもの
  • 旅行券の支給を受けた者が当該旅行券の支給後1年以内に旅行券の全部または一部を使用し
  • 場合、旅行券を会社に返還すること

食事代

◎福利厚生費となるもの

  • 会社都合の超過勤務により支給される残業食代であり、かつ社会通念上妥当なものは福利厚生または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として費用となる。

◎交際費となるもの

  • 福利厚生等に該当しないパーティ費用

◎給与等となるもの(昼食代等会社が福利厚生の一環として支給する食事代のうち、残業食代以外の食事代については給与とされる。しかし、次の要件のいずれにもあてはまる場合は所得税が課税されない)

  • 従業員等がその食事代の50%以上を負担していること
  • 会社が従業員等に支給した食事代の負担額が月額3,500円以下であること
  • 食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食あたり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合をのぞき、補助する金額が給与として課税される

福利厚生施設の利用

◎福利厚生費となるもの

  • 原則として認められる。福利厚生施設には、理美容室、保養所、診療所、体育施設、レジャー(契約施設を含む)がある-施設等(契約施設を含む)

健康診断・人間ドック

◎福利厚生費となるもの

  • 対象者をすべての従業員または一定年齢孟歳、仙歳など)以上の者とし、かつ検診内容が健康管理上の必要から一般に実施されるものであること

◎給与等となるもの

  • 特定の従業員のみを利用対象とする場合はその者に対する給与となる
  • 役員のみを使用対象とする場合は役員給与となる
  • 上記以外はすべて給与とされる
  • 会社が得意先等の接待、供応のために支出した食事代のうち1人あたり5,000円を超える飲食代については交際費となる

クラブ活動

次の条件を満たしているかどうかが問題になります。

いずれも満たしていないクラブ活動にかかる費用を会社が負担した場合には、福利厚生費とならず、寄附金となります。さらにいずれか1つ以上の条件を満たしたうえで、そのクラブ活動に通常要する費用を会社が負担した場合には福利厚生費です。

また、個人的費用や通常要する金額を超えて支出される費用については福利厚生費とならず、その性格に基づいて給与等あるいは交際費として取り扱われます。

  • 法人の役員または使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然にクラブの役員
  • に選出されていること

社員に対する値引き販売

基本的には給与等とされますが、次の条件のいずれにも該当する場合には従業員等の所得税が非課税となります。

  • 値引き販売価額が会社の取得原価以上であり、かつ通常の販売価額のおおむね70%以上であること
  • 値引率が一律または勤続年数等に応じて合理的な格差になっていること
  • 値引き数量は一般の消費者が自己の家事のために通常消費する程度であること

金銭を低い利息で貸付けたとき

役員または使用人に低い利息で金銭を貸付けた場合、その利率が貸付けを行った日の属する年の特例基準割合(国税が定める利率)による利率以上であれば、原則として給与として課税されません。

  • 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員または使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸付ける場合
  • 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員または使用人に対して金銭を貸付ける場合
  • 特例基準割合による利率と貸付けている利率との差額分の利息の金額が年間5000円以下である場合
  • 当該クラブの活動計画や運営上の重要な意思決定については会社の許諾を要する等、会社がその運営に参画していること
  • クラブ活動に必要な施設の全部または大部分を会社が提供していること

同族関連会社の注意点

同族関連会社がある場合、同族間の業務請負等の取引に注意する必要があります。所得を分散して法人税を減額したり、一方が消費税の免税事業者または簡易課税だったりすると、消費税の納税額を減らすために請負契約をすることがありますが、これらは否認される可能性があ寄附金にも注意が必要です。

100%出資の親会社・子会社だとグループ税制があるために、寄附金という発想はありませんが、そうではない場合、たとえば従業員が少しだけ株を持っていたり、片方の会社に親族ではない株主がいる場合には、業務請負自体が架空とみなされ、寄附金として否認される可能性があります。

また、出向先で役員になって、賞与が出た場合、事前確定届出給与を出していない場合は否認されるので注意が必要です。