実際には、ほとんどの会社や事業所が市販の会計ソフトを導入することになると思います。

会計ソフト・給与ソフトを使用すると自動的に数字が連動して帳簿や決算書が作成されますが、各帳簿の役割については抑える必要があります。

以下、各会計帳簿について説明します。

会計帳簿の骨組み

会計帳簿には、総勘定元帳・仕訳帳・補助簿があり、「補助簿→仕訳帳→総勘定元帳」の順序で記帳し、転記していきます。

主な補助簿

補助簿(補助記入帳ともいいます)には、以下の6つの種類があります。

  1. 現金出納帳・預金出納帳(当座預金照合表・普通預金通帳)
  2. 得意先台帳(売上帳)
  3. 仕入先台帳(仕入帳)
  4. 受取・支払手形記入帳
  5. 給与台帳
  6. 固定資産台帳

現金出納帳

毎日行われるすべての現金取引を記帳し、現金取引入出金のつど、現金残高を計算、記帳します。

そして、定期的に金庫に保管されている手許現金の残高と一致していることを確認し、責任者の検収を受けます。

取引記録の元となった領収書等は日付順に整理し、定位置に保管します。

領収書等のない支払いは支払証明書を発行し、用意した紙に担当者の署名をもらい、領収書の代わりとする場合もあります。

預金出納帳

当座預金及び普通預金を経由して行われるすべての取引を記帳します。

毎月、銀行より送付される当座勘定照合表と突合を行い、未達事項は当座勘定調整法により調整します。

長期未決済の小切手がないかも確認します。

1回の入金もしくは支払いにおいて、入金先や支払先が複数に及ぶ場合には、個別に取引内容がわかるように記帳します。

場合によっては、当座預金照合表、普通預金通帳で預金出納帳を代用することもあります。

※預金取引を記入する際の注意点

  1. 預金は事業用のものと、事業外(家事用など)のものとに区別して事業上の取引はすべて事業用口座で入金・出金して下さい。
  2. リベー卜収入も事業用口座に入金するようにしましょう。 水道光熱費、電話代などは事業用口座から自動振替等の手続きをして下さい。
  3. 取引銀行は、2行程度(たとえば都市銀行と信用金庫) が良いでしよう。
  4. 給与の支払時など引出しの時は、1円の端数まできっちりと引き出し、摘要を入れる習慣をつけましょう。
  5. 支払方法は、「小切手または手形を振り出す」、「自動振替を利用する」など事業用口座を利用して後日、証拠が残る工夫をしましょう。
  6. 売上代金などは必ず事業用口座に入金し、直接支払いに充当してはいけません。
  7. 当座預金の照合表は大切な証懇書類です。毎月きちんと整理し、ファイルしておきましょう。

得意先台帳

得意先への請求および入金状況を得意先別に記帳します。

得意先への納品書控に基づいて記帳し、得意先への請求書控と一致していることを必ず確認しましょう。

毎月の得意先の売上金額および入金合計を売掛金残高集計表などに集計すると会計仕訳を作成しやすくなります。

得意先台帳作成のメリット
  1. 毎月の売上高、仕入高が得意先(外注先等)ごとに一覧できます
  2. 毎月の掛売上、掛仕入の入金、出金が一覧でき資金管理ができます

仕入先台帳

仕入・外注先からの請求および支払状況を仕入・外注先台帳に記入します。

記帳に関することなどは得意先台帳と同じ要領です。

仕入のなかに消耗品や備品が入ってないか注意しましょう。

受取・支払手形記入帳

必ず必要な帳簿ではありませんが、手形取引の多い企業は、手形受取もしくは発行のつど記帳し、手形の発生と決済および残高を管理するために作成します。特に、決済期日における入金(もしくは支払)額を把握することが重要なので、期日別に明細と合計額を記載するタイプの手形帳が便利です。
必要に応じて、割引手形および裏書手形記入帳を作成するのも良いでしょう。

給与台帳

全社員、役員、パートなど各個人別にその企業から支払うすべての給料の明細を記載する帳簿です。

源泉所得税、社会保険料や雇用保険料の徴収もこの台帳を作成するときに行います。

固定資産台帳

使用期間が1年を超える備品等や取得価額を10万円を超えるものについては、固定資産として取り扱うかどうかの判定が必要になります。

固定資産として取り扱う項目については、固定資産台帳を作成し、減価償却の管理をしましょう。

仕訳帳の作成

仕訳帳に仕訳を1つずつ記帳していきま す。

伝票会計の場合には、会計伝票(振替伝票) を起票することで代用する場合もあります。

総勘定元帳の作成

総勘定元帳とは、勘定科目ごとに仕訳が集計されたもので、総勘定元帳への転記とは、仕訳帳に記録された仕訳を総勘定元帳 に書き写すことをいいます。

仕訳帳は取引のつど、記入されるものであり、こうして記入された仕訳はそれだけでは何が何だかわかりません。

そこで、勘定科目ごとにその仕訳の動きを把握することが必要になります。

仕訳帳から総勘定元帳への転記を通じて、勘定科目ごとにその動きを集計します。

総勘定元帳への転記ミスチェック

仕訳は借方の金額と貸方の金額が必ず一致します。

また、そうした仕訳から転記された総勘定元帳の各勘定科目の借方と貸方合計もまた、必ず一致するはずです。

そこで、再度、勘定科目の借方合計と貨方合計が一致しているかどうかについて試算表を作成してチェックします。

試算表の作成

試算表とは、総勘定元帳における勘定料自ごとの合計を借方・貸方別に集計するもので、仕訳帳から総勘定元帳への転記が正しく行われたかどうかを検証するために作成されます。

試算表には、合計試算表と残高試算表、合計残高試算表の3種類ありますが、合計残高試算表は、貸借の累計金額を集計した形式となっています。

試算表の作成手順

  1.  総勘定元帳の勘定科目ごとに、その借方と貸方の合計を出します。
  2.  各勘定科目の合計残高試算表の借方と貸方の合計欄に記入します。
  3.  資産・費用に属する勘定科日は借方の合計から貨方の合計を引いた残額を借方の残高欄に、負債・純資産・収益に属する勘定科目は貨方の合計から借方の合計を差し引いた金額を貨方の残高欄に記入します。

試算表から決算書の作成

基本的には、合計残高試算表から資産・負債・純資産の勘定科目の残高を抽出して貸借対照表が、収益・費用の勘定科目を抽出して損益計算書が作成されます。

したがって、合計残高試算表が作成できたら、決算書の8割はできており、決算時の決算仕訳を追加することで決算書が完成します。