所得区分

競馬の払い戻し金は、原則、対応する直接経費のみ認められる「一時所得」扱いで経費は当たり馬券の購入費用のみとなります。

つまり、外れ馬券の購入費用を経費として認められる事例はごくわずかと考えられます。競馬の儲けについても、確定申告して税金を納めなければなりませんので、忘れないようにしましょう。無申告ですと罰金が科されるともありますのでご注意ください。

●「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外」→「一時所得」→当たり馬券のみ経費参入可→外れ馬券は経費参入不可

●「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」→「雑所得」→外れ馬券も経費参入可

1 一時所得とは
 一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
 この所得には、次のようなものがあります。

(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2) 競馬や競輪の払戻金
(3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

2 所得の計算方法
 一時所得の金額は、次のように算式します。
総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

※その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

1 雑所得とは
 雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

2 所得の計算方法
 雑所得の金額は、次の(1)と(2)との合計額です。
(1) 公的年金等

 収入金額 – 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
※公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。
(2) 公的年金等以外のもの

 総収入金額 – 必要経費 = その他の雑所得

外れ馬券は経費とされた事例

●「外れ馬券が経費かどうか」は、「継続的・恒常的に利益を上げるために購入を行っていたかどうか=営利を目的として継続的に行われているかどうか」、つまり、「継続性・反復性・客観性」において立証可能かどうかと考えられます。

【2015/3/10最高裁判決】

外れ馬券の経費参入を認める判断をした際には、自動購入ソフトを使ってネットで大量馬券購入した者に対して「営利目的の継続的行為」認める判断を示しました。つまり、「一時所得」ではなく「雑所得」と認められました。ただじ、自動購入ソフトを使用した極めて特殊なケ-スであると考えられますので、一般的に購入される方は当てはまる可能性は低いと考えられますので、ご注意ください。

【2019/12/15最高裁判決】

「ソフトを使わずにレースごとに結果を予想して馬券を購入」しており、それが「経済的活動の実態があるか否か」というのが争点でした。
1審(東京地裁)→課税庁側の主張が認められる。
2審(東京高裁)→「男性は多額の利益を恒常的に上げていた」と判断し、2015/3/10最高裁のケースと「購入方法に本質的な違いはない」とし、外れ馬券分を経費と認めて課税処分を取り消し、納税者側の主張が認められる。
3審→2審東京高裁判決を確定とされた。

国税庁見解(追記2018/2/21)

国税庁にて下記のような見解が明示されました。

競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。

具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。

なお、上記に該当しない「いわゆる一般の競馬愛好家の方」につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください。