平成29年度の個人の確定申告の電子申告の受付けも開始されました。

申告期限までまだ一月程ありますが、通常の業務に加えて、確定申告の処理に頭を悩まされている方も多いと思います。

申告をしても支払いがあるだけで収入があるわけではないということはよくわかります。申告をするためだけに数字をまとめることになりますと帳簿を作成することは作業にとどまってしまいます。

確定申告の数字を集計するのにも相当の時間を要するので、その数字を経営に活かさなければ、無駄な時間を費やしたことになります。確定申告を機会に新しい年からは毎月集計しその数字を分析することはいかがでしょうか。数字を集計し、分析することで改善点は必ず見つかります

個人の所得税の申告納付期限は3月15日(口座振替は4月20日)、消費税の申告納付期限は4月2日(月)(口座振替は4月25日)です。所得税の確定申告によって確定する税金は住民税・事業税があり、国民健康保険加入者の方については、住民税の算定基礎となる金額によってその保険料も影響があります。その他、高等学校等就学支援金の支給を受けている方は住民税の算定基礎金額によってその支給金額に影響するでしょう。

所得税の計算をすると同時に住民税(6・8・10・1月)・事業税(8・11月納付)・固定資産税及び償却資産税(4・7・12・2月)の納付スケジュ-ルを加味したうえで年間の事業のスケジュ-ルを検討し逆算することによって、月あたりの目標売上の設定・事業経費に割り当てられる金額を算出することができます。

※住民税等の納付期限は各市町村によって異なりますので、必ずしも原則的な納期限となるわけではありません。

 
 納付月 納付税目
4月 所得税・消費税・固定資産税①
5月
6月 住民税①
7月 固定資産税②
8月 住民税②・事業税①
9月
10月 住民税③
11月 事業税②
12月 固定資産税③
1月 住民税④
2月 固定資産税④
3月

住民税の計算

住民税は所得税と双子の税金と言われることがあります。

これは、住民税の計算がサラリ-マンであるならば、会社より提出された給与支払報告書(源泉徴収票の形式をかえたもの)、個人事業主であれば確定申告書を計算の基礎として集計されるためです。つまり、確定申告で所得税を計算すると同時に住民税も計算することができます

ただし、その税額計算の基礎となる数字を入れ替えるため、所得税額はゼロ円でも住民税がゼロ円でない場合もあります。

住民税=所得割額+均等割

所得割⇒(所得金額△所得控除額)×住民税率10%

 
 所得控除の種類 所得税  住民税
 生命保険料控除  12万円(最高)  7万円(最高)
 地震保険料控除  5万円(最高)  2万5千円(最高)
 障害者控除  27万円(40万円)  26万円(30万円)
※同居特別障害者は75万円 ※同居特別障害者は53万円
 寡夫控除  27万円  26万円
 寡婦控除  27万円(35万円)  26万円(30万円)
 勤労学生控除  27万円  26万円
 扶養控除(一般)  38万円  33万円
 特定扶養控除  63万円  45万円
 同居老親等以外扶養控除  48万円  38万円
 扶養控除(同居老親)  58万円  45万円
 配偶者控除(一般)  38万円  33万円
 配偶者控除(老人)  48万円  38万円
 配偶者特別控除  38万円(最高)  33万円(最高)
 基礎控除  38万円  33万

個人事業税の計算

個人事業税は290万円の控除を一律できるため、ある程度の利益がある事業主の方についてのみ負担することになります。

個人事業税=(所得金額△290万円)×3~5%

事業税の税率は営んでいる事業によって第一種3%、第二種4%、第三種5%又は3%の割合が乗じられます。具体的に第二種は畜産業や水産業等、第三種は医業・弁護士・税理士等の士業やコンサルタント、理容業等、その他が第一種と考えて差支えないと思います。特に初めて事業を始めた方についてはご自身の事業がどの業種にあてはまるか、事前に県又は都のホ-ムペ-ジにて確認した方が良いです。想定外の支出により資金ショ-トを起こさないよう気をつけましょう。

償却資産税

償却資産税とは「土地・家屋以外の事業の用に供する固定資産」と定義付けられていて、一般的に馴染みのない税目で固定資産税の一種です。ソフトウェアや自動車等については対象外となります。目安としては10万円を超えるものについては、償却資産税のかかる資産となってくる可能性が高いです。

市区町村又は都内であれば区内に、同一人が所有する固定資産(償却資産)の課税標準額の合計額が、150万円に満たない場合には、固定資産税(償却資産税)は課税されません(免税扱い)ので、設備投資額が小規模にとどまっている事業者については課税されないことも多いです。

具体的には、高額のパソコン・サ-バ-・コピ-機や店舗の内部造作にかかった費用、製造業の機械設備、貸し駐車場の舗装、賃貸物件の擁壁や設備といったものが多いです。一概に10万円を超えた資産だからといって即償却資産税の課税対象資産とならない場合(一括償却資産として会計処理した場合等)もあるので、各資産について要件に合致するか確認するする必要があります。

※1・・・少額資産の特例により30万円以下で一時費用処理した場合
※2・・・個別に資産計上し減価償却処理したもの

事業所税

人口30万人以上の一定規模以上の横浜市や川崎市等の都市に1,000㎡以上の事務所・店舗・工場を構えている事業は、1㎡当たり600円の事業所税の申告と納付をする必要があります。

個人事業主では該当する方は少ないですが、有休の土地に倉庫等を建築していたり、将来的に規模を拡大して工場を建築し、法人化を検討されている方については当該税額についても念頭に入れましょう。1㎡当たり600円ですが、年間の税額にしますと最低60万円になります。

また、当該税目について申告納税を失念していたことにより遡って納付することになると5年で300万円となり想定外の支出となってしまう場合もありますので注意が必要です。

国民健康保険(横浜市の場合)

国民健康保険は住民税の計算の基礎となった所得から算定されます。

国民健康保険=住民税の計算上の所得×所得割料率(10.66%)+均等割(54,720円)
⇒上限額89万円