月次報告の達人

最初に紹介するのは、お客様の心をがっちりとつかむ月次決算書類のまとめ方・説明の仕方について。

財務内容の説明に関して事務所で一目置かれているという30代・男性所員の方に、工夫のしどころをお聞きしました。

「私は、単に経営実績や財務状況だけを説明するのではなく、月次決算書類の中に社長の趣味・曙好に沿った資料を一枚作成し忍ばせています。この資料は、いわば“受け狙い” のようなもので、リラックスして話を聞いていただくのが狙いです。改善を提案する中で、ゴルフ好きの社長なら『改善できたら、空いた時間でゴルフに行けますよ』と訴えるわけです。

この資料は本格的に作るのがコツで、どこどこのゴルフ場なら行くのに何時間掛かつて、費用はどのくらい必要なのかということもしっかり折り込みます」とのこと。

その気遣いから月次報告を待ち遠しくされている社長も多く、「月次決算の話を聞くのが楽しみになった」とおっしゃられているそうです。

「ペーパーの左側にお客様の会社を30社、右側にも全く同じ会社を記入して、それぞれを線で結んでみるんです。

そうすると、面白い組み合わせができることがあります。この試みをきっかけに、メガネの小売店とスペイン料理屋さんのコラボレーション企画を立案したことがあります。普通なら接点、のない会社同士ですが、スペイン料理屋で『黒縁メガネフェア』と銘打つて、黒縁のメガネを掛けたお客様にはドリンクを半額にするというイベントを催しました。

スペイン料理屋さんでは『近所の○○メガネさんに行けば無料で黒縁メガネを貸してくれますよ』とアナウンスして、メガネ屋さんではスペイン料理屋さんのフェアのPRをする。最終的には、両社とも来客数が増えて大成功でした。

こうしたマッチングができるのは、様々な業種の会社とお付き合いのある会計事務所ならではないでしょうか」とのこと。顧問先を並べたリストからお客様同士を結ぶ縁を見つけ出す。正にアイデアマンたる所以ですね。

完壁を期す段取りの達人

次は、お客様からたくさんのお礼の手紙をもらうという30代・女性所員をご紹介します。“おいしいステーキ” に例えてお話くださいました。

「おいしいステ-キを作りたい!」と思い立ったとします。スーパーでお肉を買って家に戻った時に、『付け合わせのニンジンを買い忘れた』なんてことになったらガッカリですよね。また、料理をするにも、ステーキを焼いてからソースを作っていてはお肉が冷めてしまいます。仕事にも同じことが言えると思います。

要は、最高の仕上がりを思い浮かべ、必要な下準備をしっかりした上で正しい段取りを踏むことが大事です。

ステーキであれば、おいしさは当然のこと、香りや盛り付け、お皿の出し方など、どこかに一つミスがあればお客様から最高の笑顔がいただけないように、会計事務所の仕事でも、お客様の満足をいただくには、細心の注意を払って段取りを踏み、わが事務所の頼れるスタッフ最高の仕事に仕上げていくことが必要です。

月次の経営資料などを受け取ってくださる方の顔をイメージしながら、完壁を期して仕事に取り組む内に、顧問先の社長から感謝のお手紙をいただけるようになりました」とのこと。そのお手紙が、さらなる高みを目指すモチベーションへと繋がるのでしょうね。

メールの達人

文面に思いを込める今やメールはビジネスに不可欠なツールになりましたが、便利な分、事務的になりがちで、思わぬ誤解を生むこともあります。

そこでご紹介したいのが、「メールの達人」と呼ばれる30代・男性所員の方です。

「仕事でメールを使い始めた頃は、私もたくさんの失敗がありました。その経験からメールの文面の綴り方には、電話での言葉遣い以上に気を付けています。

メールは表情も見えないし声も聞こえないので、文章の与える印象がすべてです。ですから簡潔な内容としながらも丁寧な言葉遣いを心掛けています。

また、必要事項だけだとそっけない印象になりがちなので、どんな連絡にも必ず謝意や慣用句を交えて、こちらの思いを込めるようにしています。ただ、そこに二重敬語や慣用句の誤用などのミスがあると、薄学が見透かされてしまうだけでなく、そんな相手と経営の重要な話をして大丈夫だろうかと不安を与えてしまうので注意が必要です。あとは、基本的なことですがレスポンスを早くすること。また、やり取りは必ず自分の発信で終えるようにすることなどでしょうか。無機質なツールだからこそ、いかに相手を慮れるかが大切です」とのこと。

今では、微妙なニュアンスを伝えたい時には、所長を始め多くの所員が、この方に文面の下書きをお願いするそうです。

絵心の達人

絵を描くのが得意な20代男性所員の方のお話です。

「最初は事務所通信の挿絵などを描いていたのですが、ある時所長に呼ばれ、お客様の誕生日祝いに社長の顔を描いた顔メッセージカードを添えたいとのことにで、似顔絵を描いてみました。これが殊のほか評判となり、以来いろいろな機会で社長さん方の似顔絵を描くようになりました。中には名刺に私が描いた似顔絵を使ってくださっている方もいるんですよ。喜んでいただけると本当にうれしいですね」とのこと。